1. まえがき
「運転する楽しさ」「快適な乗り心地」等、自動車のシャシー技術に対する要求は益々高まっている。この要求に応えるため「マルチリンクフロントサスペンション」「マルチリンクリアサスペンション」「マルチリンクビームサスペンション」等の開発により、メカニカルサスペンションの機能向上を図ってきた。同時に電子制御サスペンションによる性能向上にも努めてきた。日産の最上級車であるプレジデントやインフィニティQ45に搭載された「日産油圧アクティブサスペンション」は電子制御サスペンションの究極の解といえる。
今回開発した『アクティブ・ダンパー・サスペンション』は、この油圧アクティブサスに採用されたスカイフック制御を新開発のバルブ構造によりシンプルなシステム構成で実現し、94年8月発表の《新型セフィーロ》に搭載した。以下にシステム概要について紹介する。
2. システムの狙いと特徴
2-1 システムの狙い
通常の市街地走行における低・中速域の「ゴツゴツ」「ザラザラ」した高い周波数の路面入力を柔らかく吸収する【しっとりした滑らかな乗り味】と、中・高速域での路面入力による車体の揺れや、ハンドル操作、加減速操作時に生じる車体の揺れに対し、制振性の良さから感じる【しっかりした走り】を狙いとして開発した。
また、時代の要求である小型化、軽量化、省エネルギ化も同時に達成した。
2-2 システムの特徴
(1) スカイフックダンパー理論に基づく電子制御可変ダンパー制御システムであること。
(2) 従来の減衰力可変ダンパーと大きく異なる減衰力切り換え構造の採用によりシンプルなシステム構成であること。
(3) 車体の3ヶ所に設置した上下Gセンサにより検出される、車両のバウンス、ピッチ、ロールの動きに応じた4輪独立制御であること。
(4) 140段階に切り換え可能な減衰力可変バルブの採用により連続的なスカイフックダンパー制御であること。
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