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Photo:軽量・高剛性ボディ
攻めるボディバランス
最近では、設計技術の向上とコンピューターシミュレーションにより、さまざまな走行状態の車体を再現することができるようになりました。しかし、机上では完璧なものでも実際に走らせて初めて露呈する問題点もあります。数字で表れる剛性値が高いからといって、人が感じる剛性感が高いとは限らないのです。実際に、開発途中の走行テストではある速度域でステアリングを切った時に、微妙な違和感を感じることがありました。数値上はまったく問題がないのにドライバーは感じてしまう。その辺りは、開発ドライバーだけが踏み込むことのできる、感性の領域なのだと思います。
数限りないやり取りを重ね、実際の車体として造り込んでゆく、それが技術です。
その内容は、車体の高剛性化と軽量化の両立という大きな変更を伴うものから、パネルとパネルの隙間を詰めて、ボルトの形状を見直し、締め付ける力を強化するという些細なものまで本当に多岐におよびます。
しかも、単に車体の剛性を高めるだけでなく、スプリングやショックアブソーバーのチューニング、足まわりの取り付け部の剛性やエンジンマウントなど、膨大な要素が絡み合う緻密な開発です。
人間のこだわりの強さや情熱の深さを根底に、設計技術と感性を融合させて造り込んだのが“Z”なのです。
Photo:ブレーキシステム、ダブルウィッシュボーン式フロントサスペンション。
対話する足まわり
大排気量エンジンや、シャシーレイアウトなどスポーツカーといわれるクルマにはそれぞれ特徴がありますが、“Z”の場合は安定性=ステイブルです。
いくら高性能を誇ったところで、その扱いに困るようでは意味がありません。
特に、路面からの入力を拾う足まわりはクルマの挙動に影響を与えるばかりか、乗員にとっても大切な要因です。カーブや減速のたびにクルマがゆらゆらと揺れたりしているようではせっかくの高性能を存分に満喫することができませんから。こういったスポーツカーとしてしっかりしたボディモーションも大事にする、誰にとっても最高のパフォーマンスを引き出せるクルマであること。
それが“Z”のあるべき姿であると考えています。