「最新のGT-Rは、最上のGT-Rでなければならない」。これは、GT-Rの開発と製造に携わるスタッフに共通した想いである。2015年モデルのパワートレインは、トランスミッションやドライブシャフトの精度をさらに向上させ、エンジン制御の見直しも行った。その結果、変速フィールはよりスムーズで、洗練されたものへと進化した。そもそもGT-RのエンジンVR38DETTは毎年のように進化を重ね、デビュー当初に比べ51kW(70PS)ものパワーアップを実現すると同時に、燃費も同様に向上してきた。その間の技術は、例えば金属ナトリウム封入エキゾーストバルブの採用といったエンジン本体の改良から、インテークマニホールドとヘッドの合わせ工程を緻密に行うといったものまで、実に多彩である。これらは、いたずらにパワーアップを行うのでなく、エンジンを高効率化することで進化させるというポリシーを貫いてきたこと、そしてオーナーに還元できる進化は必ず実行するというポリシーの証である。 |
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マルチパフォーマンスというコンセプトのもとに生まれたトランスミッション。Mモード=パドルシフトによるマニュアルシフトとAモードによる自動変速の両方が味わえる。さらに、セットアップスイッチにより「R」「NORMAL」「SAVE」の3つのモードを選択できる。「R」モードを選べば、世界最速レベルの変速スピードが可能となり、マニュアルシフトならではの楽しみを高める。「SAVE」モードを選べば、よりマイルドな変速を行い、雪道での扱いやすさや燃費の向上も図れる。また、パドルシフトにはマグネシウムを採用するとともに本革でカバーし、その触感にまでこだわりが込められている。 |
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GT-R専用VR38型ツインターボエンジン
GT-Rは専用開発の新世代3.8L V型6気筒、VR38型ツインターボを搭載。フロントミッドシップのプレミアム・ミッドシップパッケージに最適な軽量・コンパクトさ、高出力と燃費や環境対応の両立といった21世紀のスーパースポーツカーに求められる多くの要求を、高次元で実現したエンジンである。最高出力は404kW(550PS)/6400rpm。効率の向上による進化というポリシーのもと、パワーだけでなく、常に燃費性能も同時に向上させてきた。より俊敏なトルクレスポンスや高速域での伸びを実現するため、燃料噴射をより高精度に制御するインジェクターの改良。燃焼効率向上のための金属ナトリウム封入エキゾーストバルブの採用など、このエンジンにこれまで投入されてきた進化の項目は極めて多岐に渡っている。また、F1並のクリーンルームで、熟練した技量を持つ職人が、一基一基手組みを行っていることも大きな特徴。経験を積み重ねるほど高まる技量が生み出すその精度の高さが、エンジン性能の個体差を最少限に抑え、すべてのオーナーにGT-Rならではの高性能をお届けすることを可能にしている。なお、熟練した職人が手組みした証として、チェーンカバーにはアルミ製ネームプレートが装着されている。 |
| VR38型ツインターボエンジン |
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IHI製インテグレーテッドターボチャージャー
V型エンジンの左右バンクそれぞれに、IHI製ターボチャージャーを搭載。エキゾーストマニホールドとターボチャージャーの一体化、吸排気容積の最適化、インタークーラーの大型化と冷却効率の向上、電子制御過給圧コントロールの高精度化、ターボチャージャーの過給デバイスに採用した特殊オリフィスなどにより、ターボのタイムラグを感じさせないトルクの立ち上がりを実現させている。 |
クローズドデッキ+ラダーフレーム構造
シリンダーブロックにはクローズドデッキ構造を採用。さらにクランクシャフトの支持剛性を大幅に高めるラダーフレーム構造を採用し、強大なトルクを余裕をもって受けとめる。また、軽量化のため、オイルパンやロッカーカバーにはマグネシウム合金を採用している。 |
インディペンデントインテーク&エキゾーストシステム
ターボチャージャー、インタークーラー、キャタライザーなどを2個ずつ設け、左右バンクそれぞれ吸入空気量の増大と排気抵抗の低減をすることで、高出力と自然吸気エンジンを上回るほどのレスポンスの両立を実現している。 |
プラズマコーティングボア(ライナーレス化)
一般的には鋳鉄製のライナーを挿入するエンジンのシリンダー内部に、プラズマコーティングボア構造を採用。アルミボアと同等に冷却効率を向上。高出力化と燃費の向上に貢献している。鋳鉄製ライナーにした場合2.6mmなのに対し、プラズマコーティング皮膜は約0.2mmの薄さが可能なため6気筒で約3kgの軽量化も達成した。 |
サーモスタット付オイルクーラー
オイルクーラーは空冷式とし、温度を常に最適に制御するため、サーモスタットを設置。サーキット走行など強い旋回Gがかかるような状況においてもエンジンオイルの潤滑を保つよう、ターボチャージャーのオイルはスカベンジポンプで強制的に吸引する。 |
MOTUL製エンジンオイルをディーラーオプション設定
膜圧保持性、極圧性の高い、高性能100%化学合成エンジンオイル「Mobil 1(0W-40)」を指定。 |
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GR6型デュアルクラッチトランスミッション
プレミアム・ミッドシップパッケージのために、4WDシステムおよびメカニカルLSDをトランスミッションと一体化し車両後方に搭載。Mモード(マニュアル変速)では、パドルシフト+ボルグワーナー製シックスプレートデュアルクラッチの直結制御+トリプルコーンシンクロナイザーがもたらす、ダイレクトで素早い変速レスポンスを実現した。2015年モデルでは変速性能の向上を図り、さらにバックラッシュを減らすとともにエンジンとの協調制御を熟成。より安定したトラクションと洗練されたシフトフィールを実現した。 |
| GR6型デュアルクラッチトランスミッション断面図 |
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ドライサンプ ルブリケーションシステム
高旋回Gがかかる条件下においても、安定した潤滑を行えるよう、トランスミッションオイルをギヤへ直接噴射するドライサンプ ルブリケーションシステムを採用。信頼性の向上とともに、オイルレベルを下げることでフリクションを低減し、動力性能、燃費性能も向上させている。 |
ATTESA E-TS
4WDシステム ATTESA E-TSは、ヨーモーメントコントロールを、運転操作や車両挙動をダイレクトに判断する舵角センサー、ヨーレートセンサー、Gセンサーなどから送られてくる様々な情報を瞬時に分析し、ドライバーの思い描くコーナリングラインを予測しながら、実際の走りに近づけるよう、きめ細かい前後トルク配分を行うことにより、あらゆる路面で旋回ライントレース性と加速性を高い次元で両立させた。 |
運転状況に応じて自動変速する「Aモード」
シフトレバーの操作で「Aモード(自動変速)」を選択することで、ドライバーの意思と走行状況に応じて1~6速まで自動変速するアダプティブシフトコントロールが作動する。直結されたデュアルクラッチにより、ドライバーの右足に即応し、駆動力を意のままコントロールすることを可能としている。 |
ヒルスタートアシスト
坂道発進時にはVDC-Rとの協調制御により、ブレーキペダルから足を離しても最大2秒間ブレーキ液圧を保持し、車両の後退を抑えるヒルスタートアシストを装備した。これにより、坂道の多い市街地での発進や滑りやすい雪道での登坂発進なども容易に行うことができる。 |
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